◆ペーパーレス会議の試験的導入

国土交通省国土技術政策総合研究所より発注された「29年度 道路政策の質の向上に資する技術研究開発制度に関する資料作成業務」において、ペーパーレス会議システムを試験的に導入しました。

ペーパーレス会議システムとは、会議に使用する資料をタブレット端末等で電子データを閲覧することで、配布資料として印刷される大量の紙を減らすことができる、環境に優しい仕組みです。端末で情報を閲覧するだけでなく、発表者の端末の操作に合わせて、ページ送りやマーカー表示などの画面遷移の状況を同期することも可能です。さらに、インターネット回線を経由することにより、遠隔で各自の端末の画面同期が可能なものもあり、時間や場所に縛られずに高いレベルの情報共有を行うといった、働き方改革を後押しする要素も含まれています。

これまで行政の実施する会議の多くは、活発な議論を誘発するためにバックデータ等の何百ページにも及ぶ大量の参考資料を印刷し、配布していました。準備した参考資料は、進行の中で全く触れられない場合もありますが、メインの話題がそちらに及ぶ場合もあり、杓子定規に削ることは困難でした。今回、ペーパーレス会議システムの試験的な導入により、大量の資料を配布せずに電子的に格納することで、コスト及び環境負荷を減らしながら潤沢な情報を用意して会議に挑む環境を整えることができました。

ペーパーレス会議実施の上で障害となったのが、毎回会場が異なることに加えて、会場によってはインターネットの接続環境がないということです。対策として複数台モバイルルーターを用意し、1台あたり4、5台程度のタブレットを接続することで、通信データ量の負荷と接続障害のリスクを分散しました。これにより、通信上の問題も起きず無事に会議を進行することが可能になりました。

<会議で使用したタブレット端末及びモバイルWi-Fiルーター>

大変有用な仕組みであると感じる一方で、操作については慣れが必要だと感じられる場面も見受けられました。初見で端末やソフトウェアの各機能を把握することは難しく、司会進行役や発表者に求められるようなスムーズな操作を行うためには、ある程度の時間を要します。こちらに関しては、事前に使用者のもとに赴き、端末実機を触りながら丁寧に使用方法をレクチャーすることが重要であると感じられました。一度、使用方法を習得すれば今後幅広い応用が可能なので、初期段階で時間を割いて対応することが、ペーパーレス会議を広める上で意識すべきところであると感じています。

実施前はこちらとしても初めてのことばかりで試行錯誤を繰り返しましたが、登壇識者の方々からも新たな試みに対して高い評価を頂くことができました。このような試みを実施することは、どうしてもリスク回避の視点で億劫になることも多いですが、実践してみないことには状況は変わりません。小さな一歩ではありますが、今後の行政の会議のあり方に一つの道筋を示すことができたのではないかと自負しております。