新年を迎えて(2023年 年頭所感)

謹んで新年のお喜びを申し上げます。3年にわたるコロナ禍の状況、ロシアのウクライナ侵攻という新しい国際情勢に起因する厳しい内外の社会経済状況など、令和に入り想定してこなかった難しい2023(令和5)年が始まります。このような時にこそ、より一層公共政策志向のシンクタンクとして国内外の実状や推移を的確に見極めつつ、より良い社会経済状況に資する創造的な取組や貢献が求められると考えています。
新年が皆様にとりまして幸多き年となりますよう祈念いたしますとともに、弊所を引き続きご厚誼いただきたくよろしくお願い申し上げます。

本年は、2022年の回顧を土台に弊所として気持ちを新たに躍動する年にしたいと考えています。そのため内部マネージメント(組織力の強化)と外部マネージメント(自主及び委託研究事業の拡充)をより重視し、バランスのとれた組織運営のもとに結果を出すとともに、経営の安定化に繋がる取組を推進する方針です。

東京都内(千代田区二番町)に統合・移転し2年目を迎えるこの機会に、名実ともに統合のメリットが十分に発揮でき、高質な内部マネージメントが実現できるよう留意する考えです。特に、若手、中堅、ベテランが相互に能力を活かしきれることが重要であり、そのためにも個々の人材育成とともに、果敢にチャレンジする精神を育み、情熱を持って行動することで、達成感や成功体験を満たせる人材が多数存在することがシンクタンクにとっての貴重な財産(価値)と考えています。このようなチャンスを数多く経験(挑戦)できる1年になるよう取組む考えです。

2020年の創業50年を機に、新たな10年(十年プラン)を策定し、本年は4年目を迎えますが、この間の蓄積も踏まえ、今年はさらに実績を伸ばし安定軌道に乗せる真価の年であり、十年プランの前期5年を占う重要な年と考えています。創業50周年の記念事業では、「プラットフォーム宣言」を表明しましたが、多彩なパートナーなどとの共創を通じて日本の変革に繋げるためには、弊所自身にその能力が求められることを改めて強く認識しています。

こうした認識のもとに取組む、社会変革に資する相互に関係する3つの自主研究プロジェクト(県民幸福度研究成果の第6弾の出版・普及、ジェロントロジー推進機構における教育事業と社会的事業の両立、医療・防災産業創生協議会活動の進化と新しい産業創生の実現)をさらに推し進める考えです。これらは、コロナ禍そしてポストコロナにおいて国民一人ひとりの意識や行動変容(安全・安心・幸福感)の促進に繋がり、社会変革に資する重要なプロジェクトと位置付けており、確実に事業成果を挙げることで弊所の調査研究部門における業態転換の道筋を明確にする考えです。

同時に、官公庁などの委託調査事業の推進は、国等の政策や施策課題への理解促進、新しい調査事業の開拓、経営安定面からも必要不可欠であり、このバランスが今年も引き続き重要なテーマです。さらに、名古屋オフィスを母体とした医療・看護・介護分野を中心とする教育事業部門との連携も引き続きの課題です。本部門との新たな連携として、昨秋、デザインや出版ノーハウを活かし「全47都道府県幸福度ランキング(2022年版)」の発刊に重要な役割を担ってもらったところです。

年頭に当たり、所員一同個々に目標を掲げ、その達成に邁進する所存ですので、一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げる次第です。

 

2023/1/5
(一財)日本総合研究所理事長 松岡斉