干支寅年を迎えて(2022年 年頭所感)

謹んで新年のお喜びを申し上げます。コロナ禍の状況に十分留意して、新年が皆様にとりまして幸多き年となりますよう祈念いたしますとともに、弊所を引き続きご厚誼いただきたくよろしくお願い申し上げます。

本年は、弊所にとって気持ちを新たにさらに飛躍する年にしたいと考えています。昨年11月、東京都内に所在する3つのオフィス(財団本部、調査研究本部)を千代田区二番町のビルに統合・移転いたしました。弊所では、長年にわたり事業部別々に、それぞれの部門が独立採算をモットーに経営基盤の強化と安定を図ってきました。しかしながら、事業部別々のいい面とともに、個々に立地するオフィス機能の課題も現れており、重複費用の軽減(スリム化)、部門間の連携・シナジー効果の発揮(統合メリット)など、コストとパフォーマンスのさらなる両立が、これからも続くと想定される難しい時代において必要不可欠な組織運営と考えています。

寅年は伸ばす、成長する、という意味の干支であり、弊所にとって統合を機に「新しく立ち上がり」、「生まれたものが成長する」という寅年を迎え、公共政策志向のシンクタンクとして、さらなる価値を発揮し、社会性への貢献と経営の安定・強化に専心することが重要と認識しています。

一昨年の創業50年を機に、新たな10年(十年プラン)を策定し、本年は2年目を終え、3年目を迎えますが、昨年の業績も踏まえ、今年は成長と安定軌道に乗せる真価の年であり、十年プランの前期5年の節目を占う重要な年と考えています。創業50周年の記念事業では、「プラットフォーム宣言」を表明したところですが、多彩なパートナーとの共創を通じて日本の変革につなげるためには、弊所自身にその能力と体力が強く求められることを再認識しています。

こうした認識のもとに取組んでいる、社会変革に資する3つの主要プロジェクト(県民幸福度研究成果の6度目の出版・普及、ジェロントロジー推進機構における教育事業と社会的事業の両立、医療・防災産業創生協議会活動の深化と新しい産業創生の貢献)の進化をさらに推進する考えです。これらは、コロナ禍そしてポストコロナにおいて国民一人ひとりの意識や行動変容(安全・安心・幸福感)の促進等に繋がり、社会変革に資するタイムリーなプロジェクトと位置付けており、事業成果を挙げることで主に調査研究部門における業態転換の道筋を明確にする考えです。

同時に、官公庁などの調査委託事業の推進は、政策や施策課題への理解促進、新しい調査事業の開拓、経営安定面からも必要であり、このバランスが今年も引き続き重要なテーマです。さらに、名古屋オフィスを母体とした医療・看護・介護分野を中心とする教育事業部門との密接な連携も引き続きの課題です。本部門では、コロナ禍でこれまで強みとしてきた集合・対面式の丁寧な実習教育・研修事業の開催が難しく、新しい対応が求められる中で、スタッフ一同の並々ならぬ努力の基に事業の改善・発展に取り組んでいるところです。

今年も所員一同心を新たにして邁進する所存ですので、一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げる次第です。

 

2022/1/5
(一財)日本総合研究所理事長 松岡斉