業態転換の実現に向けて(2021年 年頭所感)

謹んで新年のお喜びを申し上げます。新型コロナ禍を乗り越えて、新年が皆様にとりまして幸多き年となりますよう祈念いたしますとともに、弊所を引き続きご厚誼いただきたくよろしくお願い申し上げます。

本年は、創業51年目を迎え、新たな10年(十年プラン)の最初の年であり、今年の真価がその後の9年を占う重要な年と考えています。昨年、50周年を迎えた記念事業では、「プラットフォーム宣言」をいたしましたが、多彩なパートナーとの共創を通じて日本の変革につなげるためには、弊所自身にその能力と体力が強く求められます。これまでの蓄積をポストコロナの時代に果敢に変換・適合できるか、社会に必要とされる業態転換こそが、公共政策志向のシンクタンクの健全な経営にも必要不可欠との認識です。

こうした認識のもとに取組んでいる、社会変革に資する3つの主要プロジェクトの具現化が必要と考えています。第一は、10年に及ぶ県民幸福度研究の蓄積を地域や個人にとって幸福度を実証・実感できる分析ツール(地域新産業連関表の作成等)の開発です。第二は、ジェロントロジー推進機構における教育事業と社会的事業の両立です。第三は、コロナ禍を踏まえた安全JAPANプロジェクトの推進による医療崩壊防止と新しい医療・防災産業の創生です。

これらは、コロナ禍において国民一人ひとりの意識や行動変容(安全・安心・幸福感)の促進等に繋がり社会変革に資するタイムリーなプロジェクトと位置付けており、事業成果を挙げることで調査研究部門における業態転換の道筋を明確にする考えです。

また、国などの調査委託事業の推進は、政策や施策課題への理解促進、新しい調査事業の開拓、経営安定面からも必要であり、このバランスが今年の重要なテーマです。さらに、名古屋オフィスを母体とした教育事業部門との密接な連携も課題であり、そのためにも、調査研究部門の体力の強化がポイントと考えています。

今年も所員一同心を新たにして邁進する所存ですので、一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げる次第です。

 

2021/1/5
(一財)日本総合研究所理事長 松岡斉